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・・・演目がおわると、私は、興奮さめやらぬまま、会場を後にした。

 

真夏の夜は、闇夜である

 

暗がりの中、ぽつんぽつんと浮かび上がる街灯をたよりに、コンサートの余韻を味わおうと、旧市街にあるレストランに入ってみた。

 

レストランの中は薄暗く、人の顔がようやく判別できる程度。

 

だが、着飾ったコンサート帰りの紳士淑女たちの熱気が伝わってくる。

 

その小さなレストランには、近所の住人も、観光客や学生も、上品なマダムや一流の演奏家も、さりげなく楽しんでいる。

 

その気軽で、自然な雰囲気に、この街に世界中から人が集まってくる理由を見つけたような気がした。