今週は、アカデミー賞の授賞式の開催を記念して、
過去のアカデミー賞受賞作品がTVなどでも
放映されています。
数日前に、「クレイマー・クレイマー」を久しぶりに観ました。 以前観た時は、ストーリーや、俳優の演技の素晴らしさに 感動しましたが、今回は、音楽が特に心に残りました。
冒頭から流れてくるメインテーマは、「ヴィヴァルディ」。
「ヴィヴァルディ」と聞くと、個人的には、イタリアの画家、 ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」や「春」のような 優雅で華やかなイメージが重なっていたので、 NYという大都会の、当時としては最先端のライフスタイルが
抱える家族の問題(離婚、子育て、親権を争う裁判、
傷つく子供の心、子供を思う親の愛情など)
というかなり重たい内容とのギャップに、
最初は驚かされました。
_________________________
アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741 ウィーン没)は、 イタリア・ヴェネツィア出身のバロック後期の作曲家で
あり、ヴァイオリニスト。カトリック教会の司祭で、
ピエタ慈善院付属音楽院でヴァイオリンの教師として、
後に「協奏曲長」として活動をし、同時に、オペラ作曲家、 ヴァイオリンのヴィルトォ−ゾとして名声を得て、
演奏旅行やオペラの上演のためにヨーロッパ各地を回りました。
500以上の協奏曲、52の現存 するオペラを始め、
室内楽曲、カンタータ、オラトリオなど様々な作品を
残していますが、残念ながら、鍵盤楽器のための作品は
ほとんど作曲していないようです。
同じバロック時代に活躍したバッハとは対照的な
音楽家だったように思います。
__________________________
「マンドリン協奏曲 ハ長調 RV425 第1楽章 アレグロ」は、 軽快で明るくて、誰が聴いても思わず「クスッと」
笑ってしまうような魅力があります。
細かく刻まれる規則的なリズムは、デジタル的というか、
淡々としていて適度に心地よさを感じさせてくれます。
もし、「クレイマー・クレイマー」の中で
使われていた音楽が、バッハやブラームス、
いやショパンだったとしても、もっと重苦しい
雰囲気になっていた事でしょう。
「ヴィヴァルディ」をテーマ音楽に選んだ事で、
深刻な問題を投げかけている映画であるにも
かかわらず、感傷的になりすぎず、都会的なセンスと
マッチして、観終わった後に、清々しさが残る
心温まる作品になっていると思います。
_________________________
*マンドリンとは?:中世からバロック期にかけて
ヨーロッパで用いられた「リュート」という古楽器から
派生してイタリアで生まれた撥弦楽器。
形は、日本の琵琶に似ていて、ギターのように
ピックを使ってつま弾くように演奏する。
__________________________
*CD:ヴィヴァルディ/マンドリン協奏曲集
(オルランディ・ウーゴ)
*DVD : クレイマー・クレイマー
*you tube : ヴィヴァルディ:マンドリン協奏曲ハ長調 RV425