偉人たちの音楽と背景
〜前章「共感する音楽と心 1」からの続き
はるか昔、クラシック音楽はキリスト教の教会や貴族社会を中心に発展した。その目的に応じて、宗教的な式典(ミサ等)や、サロンでの社交のための音楽が多く作られた。
たとえば、J.S.バッハ。
バッハは、教会音楽家として活躍をし、神を讃える音楽を作るとともに、今日のクラシック音楽の基礎を築いた。
モーツァルト。
神童として貴族に愛され、オペラやサロン音楽をたくさん作った彼の音楽には、人をリラックスさせる1/fゆらぎを持つ曲が最も多いと言われる。また、メロディーは人の声のようである。
脳科学などが発展していなかったであろう時代に、貴族やパトロンの依頼で作られた音楽なのに、身分などを超えて、あらゆる人間の心や身体に届く響きやメロディーを生み出したのだ。
ベートーヴェンは、
階級社会に反発して人間の平等を音楽を通して訴えた。彼は、貴族ではなく、大衆のために音楽を作り、音楽家の社会的地位を向上させるために努力した。
パリのサロンで活躍したショパン。
その上品で華やかなサロン音楽には、ポーランドの民族舞踊が多く用いられている。そこには、当時、ポーランドが
ロシアと戦争する中、自国が困難な状況に陥っているにもかかわらず、帰国する事もかなわず、同胞を救う事ができない絶望と、ポーランド人としての魂の叫びがこめられている。
音楽としての音楽
このように、どんな大作曲家の音楽も、その当時の社会背景や人々の生活の中から生まれ、作曲家自身の人生や、感情などが色濃く反映されている。
そして、やがて時が、その音楽を取り巻いていた時代、宗教的、社会的、民族的な要素や作曲家の人生などから解放し、音楽が音楽そのものとして存在するようになり、こうしてクラシック音楽は現代へと伝わってきた。
時代の流行や、その場しのぎでもてはやされた音楽はその流れの中で淘汰されていった事であろう。
今の時代、バッハもモーツァルトもベートーヴェンもショパンも、教会やお城や貴族のサロンではなく、世界中のコンサートホールで聴く事ができる。自宅でも移動中でも好きな曲を選んで聴く事ができる。彼らの音楽はもう、宗教的な式典や、貴族の社交界、作曲家の人生などを押し付けてはこない。
そして、長い時間の流れとたくさんの人々の思いとともに生きてきたクラシック音楽は、ただ、
聴く人の心に寄り添い、
聴く人の心に響き、
深い共感を与えてくれる
真に優れた音楽は、こうして生き続けていくのだと思う。
「クラシック音楽とともに暮らす」シリーズ
piaVie!~ピアヴィー!では、ピアノを通して、忙しい日頃のストレスから解放された、音楽に包まれるひとときを過ごして頂きたいという思いでレッスンをさせて頂いております。マン・ツー・マンの個人レッスンですので、ご自分のペースに合わせたレッスンを受講していただけます♪