
11月に入ると、冬の足音が近づいてきます。
そろそろ、冬の訪れを告げる”木枯らし”が吹く頃です。
ピアニストにとって”木枯らし”と言えば、
《ショパンのエチュード 作品25-11》ですね!
《ショパンのエチュード 作品25-11》
ショパンのエチュードの中でも特に技巧的に難しい曲ですが、大変美しく、ドラマィックな曲なので、一度はチャレンジしてみたいとあこがれている方も多いでしょう。
ショパンの練習曲(エチュード)は全部で27曲あり、
- 『作品10の12の練習曲』
- 『作品25の12の練習曲』
- 『3つの新しい練習曲』
の3つの曲集から成ります。
【作品10】は、
1829~1832年にかけて作曲され、1833年、ショパンが23歳の時に出版されました。
《別れの曲》や《革命》など、有名な曲が収められています。
【作品25】は、
1832~1836年にかけて作曲され、1837年に出版されました。
《木枯らし》は、1834年に作曲され、11番目の練習曲に収められています。

僕は、自分流の方法で練習曲を作曲した
ショパンは自身の練習曲についてこう語っています。
ショパンは、自分の作り出す音楽の世界を表現するのに最もふさわしい演奏技巧を身につけるために、自らの独特な手法で、これらの練習曲を作曲しました。
ショパンの練習曲は、テクニックを学ぶためだけに作られたものではなく、テクニック的な要素の中に、ショパンの音楽の特徴である、ペダルを使った斬新な音の響き、繊細で輝かしいメロディー、力強い和音やオクターブ、独特で強烈な印象を与えるテーマ、半音階や音階、アルペジオなどの効果的な使い方などが散りばめられています。
「ショパンの音楽とはどういうものなのか?」「どのような音使い、どのようなテンポ感で弾くべきなのか?」「ショパンのレガート、スタッカート、テヌートとはどのようなタッチなのか?」「メロディーを
美しく歌わせるためにはどうすれば良いのか?」など、
ショパンの音楽を学ぶ上で必要なメッセージがすべて込められている
と言ってもいいかもしれません。

ショパンの基礎がここにある・・・
ショパンは、練習曲で作り上げた独特な音楽の世界をさらに発展させて数多くの作品を作曲しました。
バラード、即興曲、幻想曲、バルカロール、ピアノソナタ等、ショパンの作品を演奏する際に、それらの曲の中に、練習曲の断片を見てとる事ができるでしょう。
ショパンの練習曲を学ぶ事は、決して機械的に技巧を磨く事ではありません。
ショパンの音楽の世界を知る事であり、ショパンの作品を学ぶ上で、欠かせないバイブルのような存在なのです。
《木枯らし》は、冒頭の嵐の前の静けさを思わせるようなテーマの後、右手の打ちつけるような激しい分散和音が曲の始めから終わりまで途切れることなく続き、左手は決然とした主題のテーマが和音で繰り返されます。
深く切り込むような和音の乾いた響き... 全力で疾走する様が、木枯らしを思わせるため、この名前がついたのでしょう。(ちなみに、”木枯らし”というタイトルは、ショパン自身がつけたものではありません)
この曲を練習する際には、左右それぞれの手の独立を意識して、右手の16分音符は、分散された和音を意識しながら指使いや手のポジションを考えていくといいでしょう。
シャープなタッチを心がけて... 両手を合わせる際には、左のテーマを良く歌わせましょう。

寒さで身も心も引き締まるようなこれからの季節...
この冬はいつもより🔥気合い🔥を入れて、
このショパンの
♬美しくも複雑な難曲♬
に挑んでみられてはいかがでしょうか?