母と子で奏でるアヴェ・マリア

 

11月もあと1日。12月に入ると本格的なクリスマス・シーズンに入りますね。この時期、家族や友人が集まって過ごす機会も増えてくる事でしょう。その際には、ぜひ、日頃レッスンで学んできた曲を弾いて、”プチ・サロン・コンサート”を開いてみましょう。1曲でもいいのです。おいしいごちそうや華やかに飾られたクリスマスツリー、そこに一曲音楽が加わる事でその時間は一層楽しく、心温まるものになるでしょう。

 

さて、ソリストの多いピアヴィー!ですが、今日は、お子さんをお持ちのNoelさんのお話をしたいと思います。Noelさんは、2歳になる息子さんをお持ちのお母様です。結婚される前からレッスンを続けられ、お子さんを出産された際も、すぐにレッスンに復帰され、現在も、ご自分のお仕事をバリバリこなしながら子育てに奮闘しつつ、毎月のレッスンを熱心にがんばっているパワフルアクティブなお母様です。

 

そのNoelさんは、現在、シューベルト−リスト編曲”アヴェ・マリア” を弾いていらっしゃいます。半年ほど前から始められ、時間をかけて丁寧に練習を重ね、先日のレッスンの際に無事完成されました。本来のシューベルトの歌曲と比べるとダイナミックで華やかで演奏会向けのシューベルト−リスト編曲の ”アヴェ・マリア”… クリスマス・シーズンに合う曲でもあり、”この時期に仕上がって良かったな‥”と思いながら、スタインウェイのコンサート・グランドで演奏するNoelさんの演奏を聴いていた時… ふと、Noelさんのひざに乗って一緒にピアノを弾いている幼い子供の姿が目に浮かんでくるような気がしたのでした。

 

”お母さんとお子さんが一緒にアヴェ・マリアを弾く事ができたら楽しいのではないか?”

 

Noelさんの小さな息子さんは、成長するに従って、Noelさんの練習するピアノに興味を持つようになり、最近は練習を始めると一緒に鍵盤を叩いてみたりしていたずらをするようになってきたそうです。”息子が邪魔するんですよ〜”とおっしゃるNoelさんですが、それはきっとお母さんが楽しそうに練習に打ち込んでいる姿に興味を持ち、自分も弾いてみたくなったのではないかと思います。興味はあるけれど、どうしたらいいかわからないから、鍵盤を叩いて音を出してみたりするのかもしれません。

 

”その子に、アヴェ・マリアのワンフレーズを教えてあげたらどうだろうか?”

 

アヴェ・マリアはシンプルな単旋律の歌です。いつもお母さんが弾いている曲を聴いているならば、知らず知らずのうちにメロディを覚えているかもしれない。そのメロディーを、鍵盤のどこを抑えれば音が出るのか少しずつ教えてあげれば小さなお子さんでも弾けるようになるのでは…?

お母さんとお子さんが一緒にメロディーを弾く、だんだんと慣れてお子さんが一人でメロディーを弾けるようになったら、お母さんが隣で伴奏を弾いてあげる… するとすてきなアンサンブルが生まれるでしょう。

このように、シューベルトの作った美しい音楽に触れる事から、音楽の楽しさ、美しさを感じ取り、お子さんの柔らかく豊かな感性を育ててあげる事ができるのではないか… とアヴェ・マリアメロディーを聴きながら思ったのでした。

お子さんにとって、お母さんと共に過ごす時間は本当にかけがえのないものです。お母さんのひざの上に乗って、鍵盤から生まれる様々な音”に触れる事は、きっとどんなおもちゃより魅力的な世界を知る経験となるでしょう。

 

”子供にピアノを習わせたい”

 

と多くの親御さんは思われます。しかし、自分が弾こうと思う方は多くありません

でも、いきなり知らない先生の教室に行って、お行儀よく言われた事をやるという、型にはまったレッスンから始めるよりも、ご家庭の中で、いつもお母さんが弾くピアノを聴いて、その姿を見て自然と音楽に親しみ、興味を持って少し触ってみるうちに、きちんと習いたい(習わせたい)とレッスンを始められた方がスムーズにいくのではないかと思います。

そのためには、まず大人がピアノを弾くことの楽しさを知る必要があります。

 

Noelさんは、忙しい日々の中で、自分の時間を持ちたい”とピアノのレッスンを再開されました。8年近い年月の中で、音楽に心を癒された事も多かったと思います。最初はレッスンをこなし、自分のために様々な曲を弾く事に熱心に取り組んでおられました。それが次第に、時には音楽を愛する仲間と集まってコンサートをされたり、ご自分の披露宴でも演奏をされたりと、ピアノ・レッスンの枠を超えて、Noelさんの生活そのものが、ピアノを通して音楽と共に暮らすスタイルになって来られたと思います。そうやって常に努力し、ご自分の感性を高めてこられているからこそ、お子さんを持たれた現在、日常に自然と音楽があり、息子さんはその環境の中で、ごく自然体で音楽に触れながら成長していく事ができるのだろうと思います。

 

Noelさんにはぜひ、息子さんとのアンサンブルに挑戦しつつ、半年かけて仕上げたご自身のヴィルトォーゾな演奏も披露する機会を持たれる事を期待しています。

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ピアノと共に暮らす

ピアノのある生活

 

大人のピアノ・レッスンには、ピアノを弾くだけではない、音楽と共に暮らすライフスタイルを送るためのヒントがたくさん詰まっています。それは、自分だけでなく、自分の周りも豊かに、幸せにしてくれる事でしょう。