
今年も残すところあと2日…年末の寒波到来で、京都でも金閣寺などが美しく雪化粧しています。体の芯まで冷たくなる寒さに身を震わせながら、ふとミュンヘンで学んでいた頃の厳しい寒さを思い出します。
そのミュンヘンから来年1月にドイツの正統派ピアニスト”ゲルハルト・オピッツ”氏が来日されます。
ピアヴィー!が今年の最後にお薦めする演奏は、2019年1月19日(土)、20日(日)にゲルハルト・オピッツと京都市交響楽団が共演する”ブラームス・ピアノ協奏曲第1番”です!
ゲルハルト・オピッツは、名匠ヴィルヘルム・ケンプに師事したドイツ・ピアノの正統派を代表するピアニストとして国際的にその名を知られています。1953年、バイエルン州フラウエナウ生まれで、シュトゥットガルト芸術大学、ミュンヘン国立音楽大学で学び、1973年、20歳の時にケンプと出会い、教えを受けます。1977年にはドイツ人 として初めて、第2回アルトゥール・ルービンシュタイン国際ピアノ・コンクールで優勝。以後、世界中で演奏活動を行っています。1981年〜2012年までミュンヘン国立音楽大学のピアノ科教授として教鞭を執りました。古典から現代まで幅広いレパートリーを持ち、特にベートヴェンとブラームスに関しては、世界最高の演奏者の一人と言われています。
今回のコンサートで演奏される”ブラームス ・ピアノ協奏曲第1番”は、1854-1857にかけて作曲されたブラームスの初期の代表的な作品です。最初は、2台のピアノのためのソナタとして作曲されたものを、ブラームスは交響曲に書き直そうという構想を持っていましたが、うまくいかず、その後にピアノ協奏曲として完成されました。そのため、全体的に交響曲的な要素が強い作品となっています。ピアノのソロ・パートも、ヴィルトゥオーソ的な協奏曲のように、ピアノがソロでオーケストラが伴奏という形ではなく、ピアノとオーケストラを同等に効果的に対話させて音楽的に融合させようと試みた作品です。しかし、初演当時は、ピアノのソロ・パートがオーケストラに埋没しているように受け取られ、”ピアノ助奏付きの交響曲”などと酷評されました。
しかし、このブラームスの、50分にも及ぶ長大で挑戦的な作品は、ピアノ協奏曲というものに対するそれまでの価値観を変えるターニングポイントとなったのではないかと思います。
新しい年の始まりに、伝統の街京都を舞台に、ドイツ正統派ピアニストの円熟した演奏と、京都市交響楽団の共演する”ダイナミックで情熱に溢れる”ブラームスの協奏曲第1番をぜひ聴いて見られてはいかがでしょうか?
__________________
京都市交響楽団 第630回定期演奏会
2019年1月19日(土)14:30~
1月20日(日)14:30~
会場:京都コンサートホール・大ホール
出演者:マルク・アンドレーエ(指揮)
ゲルハルト・オピッツ(ピアノ)
プログラム:開演前2:00pm~プレトーク
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調op.15
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」
チケット:S¥5,000 A¥4,500 B¥3,500 P¥2,000(舞台後方席)
京都市交響楽団:https://www.kyoto-symphony.jp/
https://www.kyoto-symphony.jp/concert/detail.php?id=711&y=2019&m=1 (コンサート・スケジュール)