名演を聴き比べる楽しみ〜ブラームス ピアノ協奏曲第1番

 

今週末には、いよいよゲルハルト・オピッツと京響によるブラームスのピアノ協奏曲第1番が演奏されます。

世界的に高い評価を得ているオピッツ氏のブラームスをライブ(生演奏)で聴ける貴重な機会とあって、楽しみに待っていらっしゃる方も多い事でしょう。

 

コンサートの前には、曲について、演奏者についてなどの知識を得ておく事で、漠然と演奏を聴くよりもより深く演奏を楽しむ事ができると思います。

その際、”本を読んで知識や情報を増やす”、”自分で楽譜を見て実際に弾いてみる”、”録音された演奏を聴いてみる”など様々な学び方がありますが、今回演奏される曲は、ピアノ協奏曲という事で、ぜひ演奏を聴いて曲の全体像を掴むという事をお薦めしたいと思います。

 

ピアノ協奏曲は、ピアノとオーケストラが共演して一つの音楽の世界を作り上げます。ピアノのソロ・パートも、ヴィルトゥオーソ的な華やかさや、オーケストラに負けない響きを出すためにダイナミックで規模の大きなものとなります。

そのため、ピアノを習っていても、滅多に弾いたり聴いたりする機会には恵まれないのではないでしょうか?

楽譜を見て、ピアノのソロパートだけを弾いてみても全体像はつかめないでしょう。

どのような曲かよく知らないままに演奏会に出かけるにしては、ブラームスのピアノ協奏曲は規模が大きく、複雑で奥深い作品です。

 

今は、ネットを使えば、いつでもどこでも聴きたい曲を聴ける時代です。ブラームスのピアノ協奏曲だって例外ではありません。数々の名演を自宅でもカフェでも電車の中でも聴く事ができます。

そこで、今日は、ピアヴィー!が選ぶ歴史に残るブラームスピアノ協奏曲第1番の名盤をご紹介し、ブラームスの世界を知る手がかりとしていただければ…と思います。

 

ゲルハルト・オピッツバイエルン放送交響楽団 指揮:サー・コリン・デイビス

 

マウリツィオ・ポリーニシュターツカペレ・ドレスデン 指揮:クリスティアン・ティーレマン

 

ヴィルヘルム・バックハウスウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:カール・ベーム

 

ヴィルヘルム・ケンプシュターツカペレ・ドレスデン 指揮:フランツ・コンヴィチュニー

 

エミール・ギレリスベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 指揮:オイゲン・ヨッフム

 

クラウディオ・アラウロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 指揮:ベルナルト・ハイティンク

 (いずれの演奏もyoutubeやi-musicなどで入手する事が可能です。)

 

まずはどれか一つをピックアップして、”ブラームスのピアノ協奏曲第1番とはどのような曲なのか?”全体像を把握してみましょう。”オーケストラと共演した際、ピアノはどう響くのか?”、”ピアノとオーケストラの生み出すハーモニーとは?”、

次に他の演奏を聴いて、”異なるピアニストの持つ音色”、”曲に対するアプローチの違い”などを聴き比べてみましょう。ピアニストだけでなく共演しているオーケストラにもそれぞれ個性があり、特に交響曲の要素が強いこの曲では、オーケストラ・パートもソロと同じぐらい重要な役割を担っています。

 

一つの曲を、同じ演奏家の演奏を何度も聴き込む、異なる演奏家がどのように演奏するかを聴き比べる‥というような聴き方をする事で、ブラームスのピアノ協奏曲第1番という曲がより身近に感じられるようになり、どういう曲なのか自分なりに見えてくるのではないでしょうか?

‥そして迎えるコンサート当日、ホールで聴く演奏を、より一層興味深く、内容の濃いものとして楽しめるのではないでしょうか?

 

また、自宅などで録音されたものを機械を通して聴く演奏と、目の前でたくさんの聴衆と共に大きなコンサートホールで聴くライブの演奏・・

 

   演奏者の息遣いまで聴こえてくるような緊張感や、曲に対する情熱、ホールの隅にいても美しく響く繊細なトリル、磨き上げられたテクニックで奏でるフル・コンサートグランドピアノの豊かな響きとオーケストラのダイナミックな響きの掛け合いが直接聴いている者の心を揺さぶり圧倒される・・

 

その違いをはっきりと実感する事ができるでしょう。

 

凄まじいエネルギーを叩きつけるように始まる第1楽章の冒頭から、長く続くオーケストラの迫力ある演奏…「これは交響曲なのか?」と思った頃に現れるピアノの悲しげなソロ…

 

この最初の一音がどのような響きで始まるのか、聴衆もドキドキしながらその音との出会いを待ちわびているのです♫✨