ミュンヘンの思い出 · 06日 12月 2018
12月に入ると、ドイツは本格的なクリスマス・シーズンに入る。ドイツのクリスマスは、派手なお祭り騒ぎというのではなく、家族や親しい友人と共に過ごす静かで温かい大切な時間だ。 ドイツのクリスマス・シーズンの一番の楽しみは、クリスマスの1ヶ月前から始まるアドベント(Advent)の期間に、街の広場で開かれる"クリスマス・マーケット(Weihnachtsmarkt)"だろう。...

11月もあと1日。12月に入ると本格的なクリスマス・シーズンに入りますね。この時期、家族や友人が集まって過ごす機会も増えてくる事でしょう。その際には、ぜひ、日頃レッスンで学んできた曲を弾いて、”プチ・サロン・コンサート”を開いてみましょう。1曲でもいいのです。おいしいごちそうや華やかに飾られたクリスマスツリー、そこに一曲音楽が加わる事でその時間は一層楽しく、心温まるものになるでしょう。 さて、ソリストの多いピアヴィー!ですが、今日は、お子さんをお持ちのNoelさんのお話をしたいと思います。Noelさんは、2歳になる息子さんをお持ちのお母様です。結婚される前からレッスンを続けられ、お子さんを出産された際も、すぐにレッスンに復帰され、現在も、ご自分のお仕事をバリバリこなしながら子育てに奮闘しつつ、毎月のレッスンを熱心にがんばっているパワフルでアクティブなお母様です。 そのNoelさんは、現在、シューベルト−リスト編曲の ”アヴェ・マリア” を弾いていらっしゃいます。半年ほど前から始められ、時間をかけて丁寧に練習を重ね、先日のレッスンの際に無事完成されました。本来のシューベルトの歌曲と比べるとダイナミックで華やかで演奏会向けのシューベルト−リスト編曲の ”アヴェ・マリア”… クリスマス・シーズンに合う曲でもあり、”この時期に仕上がって良かったな‥”と思いながら、スタインウェイのコンサート・グランドで演奏するNoelさんの演奏を聴いていた時… ふと、Noelさんのひざに乗って一緒にピアノを弾いている幼い子供の姿が目に浮かんでくるような気がしたのでした。 ”お母さんとお子さんが一緒にアヴェ・マリアを弾く事ができたら楽しいのではないか?” Noelさんの小さな息子さんは、成長するに従って、Noelさんの練習するピアノに興味を持つようになり、最近は練習を始めると一緒に鍵盤を叩いてみたりしていたずらをするようになってきたそうです。”息子が邪魔するんですよ〜”とおっしゃるNoelさんですが、それはきっとお母さんが楽しそうに練習に打ち込んでいる姿に興味を持ち、自分も弾いてみたくなったのではないかと思います。興味はあるけれど、どうしたらいいかわからないから、鍵盤を叩いて音を出してみたりするのかもしれません。 ”その子に、アヴェ・マリアのワンフレーズを教えてあげたらどうだろうか?” アヴェ・マリアはシンプルな単旋律の歌です。いつもお母さんが弾いている曲を聴いているならば、知らず知らずのうちにメロディを覚えているかもしれない。そのメロディーを、鍵盤のどこを抑えれば音が出るのか少しずつ教えてあげれば小さなお子さんでも弾けるようになるのでは…? お母さんとお子さんが一緒にメロディーを弾く、だんだんと慣れてお子さんが一人でメロディーを弾けるようになったら、お母さんが隣で伴奏を弾いてあげる… するとすてきなアンサンブルが生まれるでしょう。 このように、シューベルトの作った美しい音楽に触れる事から、音楽の楽しさ、美しさを感じ取り、お子さんの柔らかく豊かな感性を育ててあげる事ができるのではないか… とアヴェ・マリアのメロディーを聴きながら思ったのでした。 お子さんにとって、お母さんと共に過ごす時間は本当にかけがえのないものです。お母さんのひざの上に乗って、鍵盤から生まれる様々な”音”に触れる事は、きっとどんなおもちゃより魅力的な世界を知る経験となるでしょう。 ”子供にピアノを習わせたい” と多くの親御さんは思われます。しかし、自分が弾こうと思う方は多くありません。 でも、いきなり知らない先生の教室に行って、お行儀よく言われた事をやるという、型にはまったレッスンから始めるよりも、ご家庭の中で、いつもお母さんが弾くピアノを聴いて、その姿を見て自然と音楽に親しみ、興味を持って少し触ってみるうちに、きちんと習いたい(習わせたい)とレッスンを始められた方がスムーズにいくのではないかと思います。 そのためには、まず大人がピアノを弾くことの楽しさを知る必要があります。 Noelさんは、忙しい日々の中で、”自分の時間を持ちたい”とピアノのレッスンを再開されました。8年近い年月の中で、音楽に心を癒された事も多かったと思います。最初はレッスンをこなし、自分のために様々な曲を弾く事に熱心に取り組んでおられました。それが次第に、時には音楽を愛する仲間と集まってコンサートをされたり、ご自分の披露宴でも演奏をされたりと、ピアノ・レッスンの枠を超えて、Noelさんの生活そのものが、ピアノを通して音楽と共に暮らすスタイルになって来られたと思います。そうやって常に努力し、ご自分の感性を高めてこられているからこそ、お子さんを持たれた現在、日常に自然と音楽があり、息子さんはその環境の中で、ごく自然体で音楽に触れながら成長していく事ができるのだろうと思います。 Noelさんにはぜひ、息子さんとのアンサンブルに挑戦しつつ、半年かけて仕上げたご自身のヴィルトォーゾな演奏も披露する機会を持たれる事を期待しています。 ___________ ピアノと共に暮らす ピアノのある生活 大人のピアノ・レッスンには、ピアノを弾くだけではない、音楽と共に暮らすライフスタイルを送るためのヒントがたくさん詰まっています。それは、自分だけでなく、自分の周りも豊かに、幸せにしてくれる事でしょう。

おすすめクラシック · 22日 11月 2018
ピアニストは一人一人異なる音を持っている。 その人にしか出せない唯一無二の音。本当に優れたピアニストは、”最初の一音”で聴衆を曲の世界に引き込んでしまう。 __________ ミケランジェリの音は妥協を許さない。 恐ろしいほどに研ぎ澄まされ冴え渡った響き・・ 透明でありながら、その指先からは色彩豊かな音色が生まれる。...

冬に弾きたい曲 · 15日 11月 2018
今年はクロード・ドビュッシーの没後100周年ですね。 クラシック音楽の中でドビュッシーの作品と言うと近代的で新しいイメージですが、そのドビュッシーが亡くなってからもう100年も経つなんて・・・ 時代を超えても今もなおドビュッシーの響きは新鮮さを失っていないという事は本当に驚くべき事です!...

秋は、「芸術の秋」と言われるように、ふとピアノなど楽器を弾いてみたくなったり、コンサートや美術鑑賞など美しい音楽や絵画に触れたくなりますよね! ヨーロッパでは、毎年9月から翌年の6月までがコンサート・シーズンです。...

冬に弾きたい曲 · 01日 11月 2018
11月に入ると、冬の足音が近づいてきます。 そろそろ、冬の訪れを告げる”木枯らし”が吹く頃です。 ピアニストにとって”木枯らし”と言えば、 《ショパンのエチュード 作品25-11》ですね! 《ショパンのエチュード 作品25-11》...

レッスン再開への道 · 26日 10月 2018
長く個人レッスンを続けていると、生徒さん一人一人の個性や、 練習のペース、曲の好みなどがわかってきます。 逆に、習う側も、先生の個性や、音楽観、弾き方や音にまで影響を 受けるものです。...

ミュンヘンの思い出 · 18日 10月 2018
ピアニストにとって、"Intermezzo"と聞いてまず思い浮かべるのは、 ブラームスの小品集ではないだろうか? 壮大な交響曲や室内楽曲などを数多く作曲したブラームスが 最晩年に残したのは、慎ましやかなピアノのための小品集だった。  その中に収められている数々の”Intermezzo (Intermezzi 複数形)"は、 1人静かに自分の心と向き合うブラームスの...

「Intermezzo(間奏曲)」は、 主にオペラ等の幕と幕の間や、 多楽章の器楽曲(ソナタや交響曲)の 楽章と楽章の間に挿入される形で 用いられる楽曲ですが、 ピアノ曲には、ロマン派以降、 シューマンやブラームスといった作曲家によって 作られた「独立した」作品があります。 一曲一曲は5分にも満たない簡素な小品ですが、...

ミュンヘンの思い出 · 04日 10月 2018
10月に入って、秋の風がさわやかに感じられるようになる頃、 去り行く夏と共に、ふと遠いドイツ、懐かしいミュンヘンの 日々を思い出す。 ちょうど今頃、ミュンヘンでは、世界最大のビール祭りである 「オクトーバーフェスト」が開催されていることだろう。 緑の木々の木漏れ日の下、のんびりと時を楽しむ人々が集う...

さらに表示する